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研究内容
1.褐藻類の光応答反応
褐藻類は、日本人にとって、非常に身近な藻類で、食材(ワカメ、昆布)としてだけではなく、フコキサンチンなどの有用物質が含まれるため非常に興味深い生物材料です。また基礎生物学的にも古くから光形態形成・増殖の研究がなされていますが、その光受容機構はほとんどわかっていないのが現状です。当研究室では褐藻類における光受容機構を解明すること大きな目的として研究を行っています。実験室で培養可能なヤハズグサ(Dictyopteris)とアカモク(Sargassum)と呼ばれる小型の褐藻類を用い、様々な光条件下での形態変化やわれわれが発見した青色光受容体オーレオクロムの生化学的解析等を行って、その関係性を調査しています。
過去の卒論等
・光によって形成されるヤハズグサ葉状体や仮根・褐藻毛の発生機構の観察
・ヤハズグサ葉状体形成時のオーキシン阻害剤の影響
・褐藻類アカモクから単離された青色光受容体オーレオクロムの生化学的解析
共同研究
・福井県立大学

2.赤潮藻類シャットネラの分裂制御および日周鉛直運動の解析
赤潮藻類はその名の通り近海の魚類養殖業にとって非常に問題となっています。特にラフィド藻に含まれるシャットネラ(Chattonella)は、増殖と運動を繰り返し、ある特定の時期に赤潮を形成し、養殖ブリやハマチの斃死を引き起こすことがわかっています。この増殖や運動には、光による影響が報告されていますが、そのメカニズムは未解決な問題が多くあります。この問題を理解するために、生理学的解析やデータベース解析をもとに分子生物学的・生化学的解析を進めています。
過去の卒論等
・赤潮藻類シャットネラの核分裂周期と鞭毛運動
・赤潮藻類シャットネラから単離されたオーレオクロムの生化学的解析
・赤潮藻類シャットネラの形質転換技術の開発
共同研究
・瀬戸内水産研究所
・基礎生物学研究所

3.藻類の葉緑体定位運動の光受容体の探索
陸上植物における葉緑体定位運動は、フォトトロピンと呼ばれる青色光受容体によって、制御されていることがわかっています。しかし進化的にフォトトロピンを持たず、葉緑体定位運動をする藻類が存在しており、未知の青色光受容体の存在が示唆されています。現在、黄緑藻類フシナシミドロ(Vaucheria)から新奇青色受容体を単離し生化学的解析等を行っています。
過去の卒論等
・褐藻類から単離されたヘロムクロムの光受容能の解析
・黄緑藻類フシナシミドロ青色光受容体様へロムクロムの単離
共同研究
・北海道大学北方フィールドセンター

4.緑藻ボルボックス類の光応答性
立命館大学BKC キャンパス(生命科学部)は琵琶湖近郊に位置し、湖水の生物群(水生植物や藻類のフローラ)または環境を調査するには非常に適した場所です。近年、琵琶湖から多様のボルボックス類が生育していることがわかり、日本新産のボルボックスの存在も確認しました(Nozaki et al. 2016 PLOS One)。基礎研究としては、ボルボックス類は光走性のモデル細胞となっており、琵琶湖産のボルボックス類を多種単離・同定し、走光性速度や光受容体を解析を進めています。
過去の卒論等
・琵琶湖で採集したボルボックス類の光応答性・光走性
・琵琶湖で採取したボルボックス類の光受容体の探索
共同研究
・東京大学理学研究科

5.その他
・黄金藻類オクロモナスのオーレオクロムの生化学的解析
・黄金藻類オクロモナスの光生理応答
・黄色植物が持つオーレオクロムの系統解析
・赤潮藻類シャットネラの光受容体の探索
・黄緑藻類フウセンモの葉緑体光定位運動と形態形成
・核コード葉緑体遺伝子を使った二次共生藻類の葉緑体起源の探索
・渦鞭毛藻類カレニアのトランスクリプトーム解析